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最高裁判所第三小法廷 昭和40年(オ)1069号 判決 1966年6月21日

上告人(被告・控訴人) 小林吉松

上告人(被告・控訴人) 二本松信用金庫

被上告人(原告・控訴人) 鈴木チエ子

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人渡辺春雄の上告理由第一点について。

本件記録を検討すると、所論指摘の原判決(その引用する一部判決。以下同じ。)の判断は、その挙示する証拠関係、その詳細な説示から、正当として肯認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、独自の見解に立って、適法になされた原審の証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採るを得ない。

同第二点について。

所論上告人らの主張を採用せず、また、所論上告人らの証拠を措信しなかった原判決の判断及び所論摘示の原判決の説示は、その挙示する証拠関係、事実関係並びに本件記録に徴し肯認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、原判決を正解せず、また、独自の見解に立ち、原審の認定にそわない事実を主張し、違法になされた原審の証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採るを得ない。

同第三点(一)、(二)について。

所論本件手形(甲一号証)返還の特約は認めがたい旨の原判決の判断及び乙一号証についてなされた原判決の判断は、その挙示する証拠関係、事実関係、本件記録に徴し肯認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、原判決を正解せず、また、独自の見解に立って、違法になされた原審の証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採るを得ない。

同第三点(三)について。

本件記録を検討し、原判決を通読すれば、被上告人は所論表見代理の主張を並列し択一的に主張し、予備的主張をしているものでないことが明らかであり、また、民法一一〇条の要件たる基本代理権についても必要十分と認められる主張をしていることが明らかである。原判決に所論の違法はなく、論旨は、前提を欠く主張であって、採るを得ない。

同第四点について。

上告人ら主張の本件手形返還契約を認定できないとする原判決の判断が正当として肯認できることは先に判示したとおりである。

本件記録を検討し、原判決を通読するも、原判決に所論の違法はない。論旨は、原判決を正解せず、独自の見解に立ち、原審の認定にそわない事実を主張して、原判決を非難するに帰し、採るを得ない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 横田正俊 裁判官 柏原語六 裁判官 下村三郎)

上告代理人渡辺春雄の上告理由<省略>

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